情けは人の為ならず

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こんにちは。
ココロとカラダの整体師 渕脇です。

本来の意味は

「情けは人の為ならず」
という言葉を知っているでしょうか?

この言葉の意味をはき違えている人は結構いるようです。
もちろん、私も以前は間違えていました。

「人に情けを掛けるというのは、その人のためにならないから止めたほうが良い。」
という意味ではないのです。
こう思っていたら、まったく正反対の意味としてとらえています。

本来の意味は、
「人に情けを掛けることは、巡り巡って自分のためになる事なので、どんどんかけたほうが良い。」
というのが本来の意味です。

もっとダイレクトに返ってくる

しかし、私は「巡り巡って」などという遠回りをしなくても、もっと直接的に自分のためになるのではないかと思うようになりました。
なぜ、そのように思ったかというと、昨日読んだ本の中に、興味深い一説があったからです。

デール・カーネギーの名著「道は開ける」の中に、「二週間でうつを治すには」という節があります。

この中で、最近日本でも注目されるようになった、精神分析医のアルフレッド・アドラーの言葉が紹介されています。

次に挙げるのは、偉大な精神分析医アルフレッド・アドラーの筆になる驚くべき報告である。彼はうつ病の患者に対して、決まって同じことを言った。
「この処方どおりにしたら、2週間で全快しますよ―――それは、どうしたら他人を喜ばすことができるか、毎日考えてみることです。」

つまり、他人を喜ばすことを考えているだけで、うつ病が治るというのです。

確かに、うつうつと悩んでいる人は、意識のすべてが自分に向かっています。
他人に関心を寄せたり、ましてや喜ばそうなどとは思うことは無いでしょう。

私自身がうつ病になった時も、自分の事しか考えることが出来ずにいました。

しかし、自分の事を考えている時というのはとても苦しいのです。
苦しいからさらに考える、考えるからどんどん苦しくなる、という悪循環に陥るのです。

この悪循環から抜け出すことが、生きる活力を得るための第一歩なのです。

そのためには、自分の事ではなく、他人のことを考える。
さらに、他人に喜んでもらうことを考えるとよいということなのです。

具体的にどうすればよいのか

しかし、他人を喜ばすと言われても、すぐには思い付かないかもしれません。
そのことについて、この本には、とても簡単な例が挙げられています。

具体的な例として、エール大学のウィリアム・ライアン・フェルプス教授の言葉を載せて説明しています。

ホテルの理髪店、その他の店へはいった時に、どんな人と顔を合わせても、私のほうから何か愛想のいい言葉をかけるようにしている。
機械の中の一個の歯車としてではなく、彼らを一人の人間と見て話しかけるようにするのだ。
店の売り子には、彼女の瞳が美しいとか、髪の毛がきれいだとお世辞を振りまき、理容師には、一日立ち続けではさぞかし足が疲れるだろうとか、どうして理容師になったのか、キャリアはどれくらいかとか、今までにおよそ何人ぐらいの頭を刈ったのかなどと聞いてみる。
彼らがそんなことを思い浮かべる手助けをするのである。
人間は誰でも、他人に興味を持たれると手放しで喜ぶものだ。
私は手荷物を運んでくれた赤帽に握手を求める。その男はその日一日、愉快な気持ちで仕事に精を出すことになる。

この一説を読んで思ったのは、確かに、店の店員などに対して、一人の人間として接することは少ないなあということです。

機械の歯車として働いていても、それぞれがひとりの人間としての感情を持っているわけです。そういう人たちと、人間として接するだけで、その人たちを喜ばすことが出来るのです。

このフェルプス教授のような考え方で生きていければ、その人はきっと、自分の事で思い悩むことは無いのだろうなと思いました。

喜んでもらえるとこちらもいい気分になる

私が整体師になったのは、誰かに喜んでもらいたいからでした。
ありがとうと言われることは、とても幸せな事なのです。
そのきっかけは、特別な事ではなくて、この教授の話のように、いつでもどこでも出来ることなのです。

私たちはつい、自分の事ばかり考えてしまいます。
どうしてまわりの人たちは、自分を困らせるようなことをするのだろうと、不満を抱えています。
しかし、自分から周りの人たちを喜ばせようと考えたことがどれくらいあるでしょうか。

「情けを掛けると巡り巡って返ってくる」

そう考えていると、その良さがいつもたらされるのかわかりませんが、この話は、実はもっとダイレクトに返ってきているということが分かります。
そのことを意識することが、気持ちよく生きていくコツなのです。

私は、このフェルプス教授のような、素敵な人になりたいと思いました。