こんにちは!
BBトレーナーの渕脇です。
疲れるのは自律神経
昨日、大阪市立大学、大阪市、医薬品と食品メーカー、総合医科学研究所が参加した「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」のプロジェクトリーダーを務めた、医学博士の梶本修身(かじもと おさみ)氏の著書、「すべての疲労は脳が原因」という本を読みました。
このプロジェクトでは、96名の健康な人を対象にして、4時間の運動負荷あるいは4時間の精神作業負荷をかけ、運動時あるいは精神作業時に、実際にどこにどれだけの疲労が生じているかを計測する実験を行ました。
その結果、疲労しているのは身体ではなく、自律神経の中枢にあたる視床下部が疲労しているということがわかったというのです。
自律神経は、身体が常に安定して機能するために、24時間365日休むことなく働いています。
自律神経は、運動負荷時もフル回転で働いていますので、この部分の疲労が大きくなるというのです。
疲労と疲労感の違い
ここで私が注目したのは、自律神経の中枢が疲労していても、疲労感を感じる場所が別の場所(大脳の前頭葉にある眼窩前頭野という部分)であるため、疲労しているのにもかかわらず、疲労感を感じないということが起こるという部分です。
例えば、マラソン大会に出で疲労したのにもかかわらず、自己記録を更新したために疲労感が吹っ飛んだ、などという場合です。
この、疲労しているのにもかかわらず、疲労感を感じないという状態が続くと、身体に疲労が蓄積され続け、重大な結果を招くことがあるというのです。
過労死をするのは人間だけ
疲労するのは自律神経の中枢だけど、疲労感を感じるのは前頭葉というように、場所が違うことによって、疲労感を感じられないということが起こります。
そして、これが過労死の原因になっているのです。
過労死をするのは人間だけです。
疲労感を感じる前頭葉は「意欲や達成感の中枢」と呼ばれています。ヒトはあまりにも前頭葉が大きくなったために、眼窩前頭野で発した疲労感を意欲や達成感で隠してしまうことがあるのです。
これによって、本当は疲労しているのに疲労感を感じていないという、「隠れ疲労」「疲労感なき疲労」という状態を引き起こすことがあるというのです。
人間の場合、大きく発達した前頭葉こそが、過労死の原因を作っているというのです。
私が驚いたのは次の記述です。
これまで、私たちが行った過労死の研究でも、日ごろから仕事のやりがいや達成感がある、あるいは上司や同僚からの称賛、昇進といった報酬が期待できて楽しく仕事をしているときほど過労死のリスクが高いことがわかっています。楽しく仕事をしているときほど「疲労感なき疲労」が蓄積されやすく、休まずに仕事を続けることで疲労は脳と身体を確実に蝕み、果てには過労死にいたらしめるのです。
私はこれまで、仕事にやりがいを感じている場合には疲労を感じることなく、元気に過ごせると思っていましたが、それは思い過ごしだったということです。
むしろ、そういう状態のほうが危険であるというのです。
私のような誤解をしている人は、たくさんいるのではないでしょうか?
このような誤解は危険だし、これは、常に意識しておかなければいけないと思いました。
そして、この事実は多くの人に知らしめる必要があると思いました。
確かに、充実した仕事をして忙しく働いていた人が、ある日突然、心筋梗塞で倒れてしまうということはよくある話です。
そういう人は、疲労していなかったのではなく、疲労感を感じることが出来なくなっていた、ということです。
疲労は身体からのサイン
この本の中にも、「疲労」は、「発熱」「痛み」と並んで、人間の生体アラームの一つだと書いてあります。
つまり、「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及びますよ」という警報であるとのこと。
この警報が感じられなくなる、ということは、とても危険なことであると認識してほしいと思います。
ところが、忙しい現代人は、身体の警報を感じられなくしたうえで、さらに活動しようとします。
「発熱」には解熱剤、「痛み」には鎮痛剤、「疲労」にはカフェインや栄養ドリンクなどでごまかそうとします。
そういう風潮が気になります。
これがどれくらい危険なことなのかを、改めて考えてほしいと思います。
カラダからのサインを無視し続けることで、身体が確実に壊れていきます。
身体の声を聴こう!
コンディショニングで最も重要なことは、身体の声をちゃんと聴くということです。
そして、その声に従うということ。
疲れているけど、充実しているから大丈夫。
眠いけど、栄養ドリンクを飲んでもうひと踏ん張り。
そういうことを続けていると、取り返しのつかないことになりかねないのです。
そのことを、改めて感じました。
そして、充実しているときほど要注意、というのはいい視点をもらいました。
充実しているときは、疲労感を感じにくい。
だからこそ、身体の声を素直に聴く習慣を身につけることが大切なのですね。